長く働いてきたごほうび、退職金。
まとまった金額だからこそ、「受け取り方」で手取りが大きく変わるのをご存じですか。
退職金には、一度にまとめて受け取る「一時金」と、少しずつ受け取る「年金」形式があります。どちらを選ぶかで、かかる税金や社会保険料が変わってきます。50代のうちに仕組みを知っておくと、いざというときあわてずにすみます。
この記事では、2つの受け取り方の違いと、税金のポイント、判断のコツをやさしく整理します。
📋 この記事でわかること
- 退職金の受け取り方は大きく2種類
- 一時金が「税金でとても優遇される」理由
- 年金形式を選ぶときの注意点
- どちらが得か、50代の判断ポイント
💰 退職金の受け取り方は、大きく2つ
会社の制度にもよりますが、退職金の受け取り方は主に次の2つ(または併用)です。
- 一時金(一括):退職時にまとめて一度に受け取る
- 年金形式:一定期間、分割して少しずつ受け取る
- 併用:一部を一時金、残りを年金で受け取れる会社もある
この2つは税金の計算方法がまったく違います。ここが手取りを左右する大事なポイントです。
🧮 一時金で受け取る場合(税金がとても優遇される)
一時金で受け取る退職金は「退職所得」として扱われ、「退職所得控除」という大きな非課税枠が使えます。長く勤めた人ほど有利になる仕組みです。
退職所得控除の目安
勤続20年まで:1年あたり40万円
勤続20年を超えた分:1年あたり70万円
📌 計算例:勤続30年の場合
40万円×20年 + 70万円×10年 = 1,500万円までが非課税。
さらに、控除を超えた部分も半分(1/2)だけが課税対象になります。退職金にはこれだけ手厚い優遇があるのです。
※あくまで計算例です。実際の額は勤続年数や退職金規程によって変わります。
💡 控除額の範囲におさまれば、税金はゼロ
じつは、多くの会社員の退職金は、この控除額の範囲内におさまります。その場合、一時金で受け取れば退職金に税金はかかりません。まずは「自分の勤続年数だと控除額はいくらになるか」を計算してみましょう。
⚠️ 一時金でもらうなら「申告書」を忘れずに(知らないと損)
一時金で受け取るときは、勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出します。これを出せば退職所得控除が適用され、税金が正しく(少なく)計算されます。出し忘れると、退職金の額面に一律20.42%の税金が引かれてしまうので要注意(あとで確定申告すれば戻せますが、手間がかかります)。会社から用紙が配られたら、必ず提出しましょう。
📆 年金形式で受け取る場合
年金形式で受け取ると、退職金は「公的年金等」と同じ枠で扱われ、公的年金等控除の対象になります。ただし、注意点もあります。
- 公的年金など他の年金と合算して課税されるため、税額が増えることがある
- 国民健康保険料や介護保険料の計算に影響することがある
- 受け取っていない残りを会社が運用するため、合計の受取額が一時金より多くなる場合もある
「毎月コツコツ受け取れる安心感」と「税・社会保険料への影響」の両方を見て考える必要があります。
⚖️ どっちが得?50代の判断ポイント
一般には、退職所得控除の優遇が大きい「一時金」のほうが税負担は軽くなりやすいと言われます。ただし、それだけで決めないほうがいいポイントもあります。
・一時金は使いすぎのリスクもある。計画的に管理できるか
・年金形式は受け取り続ける安心感がある
・健康保険料など、税金以外への影響も含めて総合的に考える
👉 迷ったときの基本の考え方
まずは「一時金」を軸に考えるのがおすすめ。そのうえで、使いすぎが心配な人や、年金形式にすると会社の運用で総額が増える人は、年金形式や「併用」も検討する——という順番で考えると分かりやすいです。
⚠️ iDeCoも受け取る人は要注意
iDeCoを一時金で受け取る場合、退職金と受け取る時期が近いと退職所得控除の枠が重なって、思ったより税優遇を使えないことがあります。両方ある人は、受け取る順番やタイミングで結果が変わるので、事前の確認が大切です。
【ご注意】本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、税制は改正される場合があります。控除額や税額の計算は個人の状況によって異なります。実際の受け取り方を決める際は、会社の退職金規程を確認のうえ、年金事務所・税務署・税理士など専門の窓口にご相談ください。
✅ まとめ:受け取り方で手取りは変わる
- 退職金は「一時金」「年金」「併用」から選べる
- 一時金は退職所得控除でとても優遇される(控除内なら税金ゼロ)
- 一時金なら「退職所得の受給に関する申告書」を会社へ提出
- 年金形式は他の年金と合算され、社会保険料にも影響
- iDeCoがある人は受け取るタイミングに注意
「なんとなく一括」で決めず、仕組みを知ったうえで選ぶ。それだけで、老後の手取りに差がつきます。まずは自分の退職金の見込額と勤続年数を確認するところから始めましょう。


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